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最高裁判所第二小法廷 昭和25年(れ)1808号 判決 1951年5月11日

本籍

東京都港区麻布飯倉町五丁目一四番地

住居

同都板橋区志村清水町二四九番地

進駐軍理髪師

横山馨

大正六年二月七日生

右の者に対する窃盗、詐欺被告事件について、昭和二五年二月二二日東京高等裁判所の言渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人後藤末太郎の上告趣意について。

しかし所論の物件が戦時罹災土地物件令一八条の規定によつて国庫に帰属していたとしても昭和二〇年一〇月一九日付の東京都経済局長から各区長宛の所論通牒による金属類回収の事業が打切られた昭和二〇年一一月二〇日限り国の所有権が抛棄されて無主物となつたとは認められない、然らば右物件は他人の所有にかかる物であるから原判決がこれにつき判示窃盗罪及び詐欺罪を認めたことは正当であつて論旨は採用できない。

よつて、刑訴施行法二条、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

検察官 竹内壽平関与

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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